会議録【板橋区議会における陳情の審議に陳情者が希望すれば陳情者の発言を認めること等を求める陳情】について

 “陳情の内容を最もよく知っているのは陳情者である”という観点から、陳情者が希望すれば板橋区議会の陳情の審議で発言することを認めることを求める陳情を以前、板橋区議会に提出したのですが、“不採択”とされてしまいました。
(参照:【不採択!】板橋区議会における陳情の審議に陳情者が希望すれば陳情者の発言を認めること等を求める陳情 http://shigakishinya.jpn.org/archives/2778 )
 
 それにかかる議事録を板橋区議会会議録サイトで見つけましたので以下に添付します。
 そのまま添付したため、議員名は敬称略となっていることをご了承ください。
 
 会議録一読したところ、板橋区議会の現行ルールでは不可能ということで、不採択とされたと読み取れました。
 
 しかしながら、自治体によっては陳情者が希望すれば議会での発言を認めるところもあります。
 その自治体と板橋区のルールは違うということなのでしょうか。
 
 どちらのルールが、より区民参加型で、区民の意見を取り入れたルールでしょう。
 
 会議録、少々長いですが、どの議員がどういう発言をし、どういう経緯で不採択となったかがわかります。
 板橋区議会に区民の声をもっと反映させることに関心のある方は一読してみてほしいです。
 

—板橋区議会 平成29年 議会運営委員会 本文 2017-06-14—
◯委員長
 それでは、議題に入ります。
 今定例会で付託されました陳情から審査いたします。
 初めに、陳情第122号 板橋区議会における陳情の審議に陳情者が希望すれば陳情者の発言を認めること等を求める陳情を議題といたします。
 陳情の朗読を省略し、本件について説明願います。
◯事務局次長
 それでは、陳情第122号 板橋区議会における陳情の審議に陳情者が希望すれば陳情者の発言を認めること等を求める陳情でございます。
 願意が4点ございます。
 1点目が、板橋区議会に提出された陳情提出者が希望すれば陳情の審議に陳情者が発言できるようにしてくださいというものです。
 2点目が、陳情者が発言した内容は議事録に記録され、議事録を公開してくださいというものです。
 3点目、陳情者本人が審議に参加できない場合は、陳情者が認める代理人が発言できるようにしてくださいというものです。
 最後4点目です。陳情者が認める代理人が発言した内容についても、議事録を公開してくださいというものです。
 その下の陳情理由ですが、議会基本条例第11条には、請願者または陳情者による説明の機会を設けることができることが規定されておりますが、陳情者が希望すれば陳情審議に参加し、発言できる内容にはなっていないということで、陳情の内容を最もよく知るのは陳情者であるという観点から、陳情者が希望すれば自由に当該委員会の審議に参加し、発言できるようにするべきとのことでございます。
 板橋区議会におきましては、平成25年から26年にかけまして、議会基本条例の作業部会の中で本件が審議されまして、その後、平成26年10月から11月に開会された議会運営委員会におきまして、議会基本条例に基づく議会運営についての決定がなされました。
 そこで、平成26年12月16日に全議員に通知されたものがございまして、その内容なんですけども、議会基本条例の11条に規定されている表題の取り扱いについてということで、説明の機会の場及びその時期ということで、請願・陳情代表者が委員会で趣旨説明を行う場合は、委員会において、当該請願・陳情が議題となった際に、委員より委員長にその旨を申し出て、委員会に諮って許可する。請願・陳情代表者がその場にいる場合は、委員会を休憩の上、委員協議会を開催し、その中で請願・陳情代表者により趣旨説明を聞くと。請願・陳情者がその場にいない場合は、当該の請願・陳情を継続審査とし、次回閉会中の請願・陳情の審査のときに委員会を休憩して、開催する委員協議会の中においてその趣旨を聞くということで、いずれの場合も委員協議会において行いまして、当該委員のみが出席するということになってございます。決定方法としては、委員長が委員会にお諮りして、全会一致で行うというふうに取り決めしてございます。
 こちらの申し合わせを決定する際に、当時の議会運営委員会では、請願者・陳情者に対する説明の機会の付与に対する取り扱いについて、2つの案をもとに議論しております。1つ目の案が、請願・陳情者あるいは委員からの申し出に基づいて趣旨説明を受ける案。2つ目は、今回の案なんですけども、あくまで陳情の願意を確認しなければ審議が進まないと委員会が判断した場合に、請願者・陳情者からお話を聞くべきと。委員会の主体的な判断で説明の機会を設けるべきというやり方で、これまでのやり方を踏襲した案でございます。
 この2案を検討した結果、請願者・陳情者の申し出についても考慮すべきとの意見もありましたが、結果的には、先ほど、委員会が主体的に判断して、これまでの考えを踏襲した運営について、全会一致で決定したというものでございます。
 願意の2項目め、4項目めもそうなんですけども、議事録の公開につきましては、板橋区議会では、休憩中に委員協議会、非公式の会議ですので議事録をとっていませんが、委員会で認めるということになれば個人情報の取り扱いですとか、発言方法、取り消しなどのそういったルール決めが必要になるかなと思います。
 また、3項目め、4項目めの代理人ということでございますが、代理人の範囲をどこまで認めるのか。例えば賛同署名した方とか、または関係者のみにするか、どういった手続でやるかという、そういったことを、ルールを決める必要があるかと思います。
 以上の点を踏まえまして、もしこの陳情が採択されて変えるということであれば、議会運営委員会の決定を変更することになりますので、改めて議会運営委員会におきまして、請願者・陳情者に対する説明の機会の付与について検討の上、決定していただく必要があると考えております。
 説明につきましては、以上でございます。
◯委員長
 本件について質疑及び委員間討論のある方は挙手願います。
◯吉田豊明
 今の説明の中でも、陳情者の方の願意を正確に判断することができない場合には、それをどう保障するかという点でも、基本条例の中では明確になっているという話でありました。それで、今回この陳情を見て思ったんですけれども、陳情に対する審査に参加をするということになっているんですが、これは具体的にはどのようなことを想定していると思われるのでしょうか。
◯事務局次長
 あくまで陳情の審査につきましては、委員会の中で行うものですので、陳情者が参加するということではないと思うんです。あくまで陳情の願意の趣旨を正確に説明したいということが念頭にあるのかなと思っております。
 以上でございます。
◯吉田豊明
 そうすると、今回出されている陳情が、願意を正確に理解した上で、委員会での質疑を行うという、これは当然求められることだと思うんですけれども、それを、その範囲内でのことで、この陳情についての審査をする、委員会での審査同様の審査をするということは、現状でもできないというのを確認させてください。
◯事務局次長
 そうですね、あくまで委員会の中での委員間での審査になりますので、陳情者の方が参加するということはできないということでございます。
◯吉田豊明
 はい、いいです。
◯委員長
 よろしいですか。
◯竹内 愛
 ちょっとあわせて、私もその審議に陳情者が発言できるようにするというふうになると、その説明とかということではないのかなというふうに思っているんですけど、このような形態で、例えばほかのところで、板橋区議会は公述人ですとか、公聴会という形で開催することも可能、その規定に基づいて議会で対応することが可能だという位置づけになっているんですけども、例えばこの陳情の方が言われているように、審議に陳情者が参加し、発言できるようにするというふうにしているところというのはあるのか、わかれば教えてください。
◯事務局次長
 23区を調べさせていただきまして、基本的にはどこも説明の機会、趣旨説明をする場を設けているところはあります。請願と陳情でまた分かれておりまして、請願のほうにつきましては、11区で説明の機会の場を設けていると。そのうち4区が陳情者からの申し出ということで、ほかの7区が陳情者からの申し出によって委員会が決定するということになってございます。陳情につきましてはもう少し減りまして、陳情者の希望があれば原則実施しているのが1区、陳情者からの申し出があった場合に委員会で決定するのが6区でございます。板橋区のように、委員からの発言というのは、板橋区のみでございます。
 失礼しました。先ほどの請願も、申しわけございません、もう一度言います。請願のほうも4区が申し出があれば原則お受けすると、7区が希望者の希望があった場合に委員会で諮って決定しているのが7区と、委員からの申し出は板橋区1区でございます。失礼しました。そのような形になってございます。
 ですので、審議に参加しているというところはないかなと思います。
◯竹内 愛
 もう一点、この陳情されている方が陳情の理由の中で、最もその陳情の内容を知っているのは陳情者であるという観点から、発言をさせていただきたいということなんですけど、陳情の様式というのは、字数ですとか、それから紙の量ですとか、そういうことに制限があるのか。それから、例えばもっとこういうことを説明したいといったときに、参考資料としてつけることも制限をされているのかどうか、その点についてお伺いします。
◯事務局次長
 基本的にそういった制限は、字数または様式等に制限はございません。わかりやすくというのはあるかとは思いますけども、基本的にその陳情者の方がわかりやすいと思ったやり方で書いていただければ、必要最低限の書かなきゃいけない事項はございますが、それを守っていただければ大丈夫ですし、後ほど参考資料ということでお出しいただければ、それを配ることも可能でございます。
◯委員長
 よろしいですか。
 ほかにどなたかいらっしゃいますでしょうか。
         (発言する人なし)
◯委員長
 それでは、この程度で質疑及び討論を終了し、意見を求めます。
 意見のある方は挙手願います。
◯竹内 愛
 この陳情は4項目あるんですけども、この1項目が成立をしないと、ほかの3つも余り意味がないのかなというふうに思っていますが、ですので一括で結論を申し上げたいと思いますが、結論から言うと継続ということなんですけど、ただ、今、説明がありましたように、説明の機会を設けるというのは非常に重要な視点かなとは思うんです。ただ、審議に陳情者が参加をして発言するというのは、ちょっと違うかなというふうに思います。というのは、議会というのは、住民の代表として選挙で選ばれて、その代表たる議員がさまざまな角度から議論をし、その陳情や議案に対して結論を出すというのが議会ですので、そうなるとその議会としての役割そのものが変わってきてしまうのかなというふうに思います。
 それと、もう一点、その説明の機会というのをどういうふうに捉えるかということなんですけども、今、事務局のほうからも説明がありましたように、陳情や請願の書式については制限はないということですので、より詳しく、内容が伝わりやすい内容で出していただいて、またそこに補足が必要であれば、参考資料を出していただくなり、そういったことも可能なのかなと。それから、議員側も疑問があれば陳情者の方や区のほうに現状を確認するということも事前に行うこともできますので、今の段階で特段陳情者の意図が伝わらないというのは、制限されているわけではないというふうに考えています。
 ただ、議会基本条例の中で、説明の機会を設けることができるという項目については、積極的に活用していくようなことは、私たちも努力をしていく必要があるかなというふうに思いますが、こういった状況から、本件については継続というふうにさせていただきたいと思います。
◯委員長
 ほかにございますか。
◯かいべとも子
 先ほど来から、この陳情者の方は審議に出席をして、希望すれば発言をできるということは、現在の議会基本条例と、先ほどの事務局の説明からいっても無理な現状ですので、そうなると、当然代理人についても同じことになります。本区では、係争中のもの及び民民の陳情以外は全て受け入れて、他区よりも門戸を開いて、区民の方々には陳情を受け入れているのが現状です。また、先ほど来ご説明があったように、提出の内容、仕方についても、字数に制限もなく、必要なものはそこに説明がかなり可能であるという現状であります。
 ですので、この陳情を、今、進めるということは、時期尚早と考えますので、審議をしてもこの部分が進展しなければ実現は難しいので、不採択を主張いたします。
◯委員長
 ほかにございますか。
◯高沢一基
 現状でも委員会の決定で陳述を求めたい場合には聞くことができるということでありますので、これについては、その必要性があれば実現できるものであります。委員会や議会のやっぱり権限をしっかり確保して、独自性を保っていくためには、委員会のほうから、議会の中で必要なときに意見を聞くという形じゃないと、陳情の場合は制限をしていないわけでありますから、陳情者が意図的に陳情を出してきて、議会の場においていろいろ宣伝をするとか、そういったような可能性も考えられるわけでありますので、それは陳情者の申し出で陳述ができるというのではなくて、あくまでも議会側の決定でという形でやるのが当然だろうと思います。これはやっぱり代議員制度をとっている、我が国の現在の地方議会制度においての趣旨からいっても、当然のことだと思いますので、本陳情については不採択を主張したいと思います。
 以上です。
◯田中やすのり
 議会基本条例でも、審査に当たって説明の機会を設けることができるという明確な規定がございまして、今回の陳情に出てきているのは、陳情の審議に陳情者が発言できるようにしてほしいということで、条例の今の規定をかなり上回っている要望をしてきていて、ちょっと趣旨に沿いがたいなという現状がございます。
 ただ、説明の機会を設けるやり方を前向きに検討していく必要性は、私どもとしてはあると思っておりまして、引き続き審査を継続したいと思いますので、継続審査を主張いたします。
◯高橋正憲
 私は、これは不採択を主張させていただきます。
 何も発言者に対して、その趣旨を審議している人方にきちっと伝えることをやめろとか何かというんじゃなくて、こういうような委員会をやっていても、一旦休憩をして、そういう人を呼んで、そこで説明を聞いたりなんかはできるわけですよ。これは議会制民主主義ですからね。その中で、ここで審議しているわけですから、選ばれた人が審議をしてそこで決める話であって、それがそうじゃない人がいっぱい来たら、これは議会制民主主義にならないでしょう。逆にこの陳情者が2人、3人、4人、5人、10人だったらどうするんですかという、これ1人だとは決まっていないでしょう。だったらどうするんですかという話も当然あります。
 ですから、今、言ったように、陳情者とかそういう人方に対しては、議会として、委員会として十分にその人の説明などを聞く、そういうチャンスというか、そういう状況にあるわけですので、一緒に審議に参加をするという、そのことはルール上、私はできないというふうに思っていますので、そういうことから、この陳情については不採択、それを主張させていただきます。
◯委員長
 以上で意見を終了いたします。
 陳情第122号 板橋区議会における陳情の審議に陳情者が希望すれば陳情者の発言を認めること等を求める陳情につきましては、なお審査を継続すべきとの発言と表決を行うべきとの意見がありますので、最初に継続審査についてお諮りいたします。
 陳情第122号を継続審査とすることに賛成の方は挙手願います。
         可否同数(4-4)
◯委員長
 可否同数と認めます。
 したがいまして、委員会条例第14条第1項の規定により、委員長裁決を行います。
 陳情第122号を継続審査とすることは否決いたします。
 この際、継続審査を主張された方で特にご意見があれば伺います。
◯田中やすのり
 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現行、必要があれば陳情者から直接意見を聞くこともできますし、必ず陳情を出したからといって、発言させて審議させてくれというのは、条例をかなり逸脱しちゃっていると思いますので、不採択を主張させていただきます。
◯竹内 愛
 私どもも不採択を主張いたします。
 先ほどいろいろ申し上げましたけれども、陳情者の方に議会で、今、決められていることをきちんと説明をした上で理解をしていただきたいなという思いがありまして、継続を主張させていただいたんですけども、今、お話がありましたように、説明をする機会は設けることができるというふうになっていますけども、審議に陳情者が参加をして発言するということは、ルール上できませんので、これについては不採択ということにしたいというふうに思います。
 以上です。
◯委員長
 それでは、次にお諮りいたします。
 陳情第122号を採択することに賛成の方は挙手願います。
         賛成者なし(0-8)
◯委員長
 賛成者なしと認めます。よって、陳情第122号は不採択とすべきものと決定いたしました。


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